キャリア 2026-09-16
ラクロス部の「主将」経験はキャリアでどう評価されるか ― 現場を動かすリーダーシップの伝え方
大学ラクロス部で主将を務めたOB・OGの多くは、自己PRの場面で「リーダーシップがあります」という一言で終わらせてしまいがちです。しかし主将という役職は、単に人望があったから任された名誉職ではありません。学生だけで組織全体を動かす構造の中で、結果への責任を一身に引き受ける立場です。ここでは、主将経験がキャリアでどう評価されるのかを、役割の実態から考えます。
大学ラクロス部の「主将」は何を担っているか
学生主体の組織運営の中心に立つ役割
日本のラクロスは1986年に慶應義塾大学の学生がチームを立ち上げたのが始まりで、翌1987年に日本ラクロス協会(JLA)が発足しました。高校までの競技経験者がほとんど存在せず、専任コーチが常駐しない大学ラクロス部も多いため、主将・主務・会計・渉外といった役割を学生自身が分担し、組織全体を回しているのが特徴です。この中で主将は、練習方針やチームとしての目標設定など、競技面の意思決定における最終的な責任を負う立場に置かれます。ラクロス部出身者のキャリアで触れたように、この「大学から始める競技」という成り立ち自体が、主将という役職の重みにも影響しています。
プレーヤーとしての実績とマネジメントの実績を両立させる立場
主将は多くの場合、現役のレギュラープレーヤーでもあります。自分自身の技術やコンディションを維持しながら、同時にチーム全体の状態にも目を配らなければなりません。「自分のプレー」と「チームの結果」という二つの評価軸を同時に背負い続ける経験は、他の役職にはない主将特有の負荷であり、それを乗り越えてきたこと自体が一つの実績になります。
主将経験がキャリアで評価される理由
「決める」責任を学生時代から負ってきた経験
主将の仕事の多くは、正解が用意されていない場面で判断を下すことです。誰をスタメンで起用するか、調子の上がらない選手にどう向き合うか、リーグ戦で結果が出ない時期にどう練習方針を修正するか。こうした判断は毎回チームメイト全員の納得を得られるとは限りませんが、それでも決めて前に進める役割を任され続けてきた経験は、正解のない業務判断が日常的に求められる仕事の場面でそのまま強みになります。
結果が出ない時期に組織をまとめる経験
リーグ戦は長期戦であり、勝てない時期や部内の雰囲気が沈む時期を必ず経験します。そうした局面で「今、チームに何が必要か」を考え、練習の意図を言葉にしてチームメイトに伝え直す作業は、業績が伸び悩む職場やプロジェクトのチームを立て直す経験と本質的に近いものです。単に元気づける言葉をかけるだけでなく、具体的な行動レベルまで落とし込んで組織を動かした経験があるかどうかが、評価される主将経験とそうでないものを分けます。
対外的な「チームの顔」としての対応経験
主将は他大学の主将やOB・OG会、部の関係者と直接やり取りする機会が多い立場でもあります。ラクロス部の「渉外」とは?で紹介した渉外担当ほど対外交渉に特化しているわけではありませんが、主将もまた対戦校との事前調整やOB・OG総会での挨拶など、チームを代表して外部と接する場面を数多く経験します。この「組織の代表として発言し、その発言に責任を持つ」経験は、社会人になってから顧客対応や社外との折衝を任される場面に近い感覚として活きてきます。
キャリアの言葉にどう翻訳するか
主将としての経験を面接や職務経歴で語る際は、次のような視点で具体化しておくと伝わりやすくなります。
- 「リーダーシップがあります」で終わらせない: どんな場面で、誰との間に、どんな意見の対立があり、それをどう判断して収めたのかを一つのエピソードとして整理しておく
- 結果が出ていた時期より、出ていなかった時期を語る: 好調な時期のマネジメントより、苦しい時期にどう組織を立て直したかのエピソードのほうが、判断力や胆力を具体的に伝えやすい
- 「決めた理由」を説明できるようにしておく: スタメン起用や練習方針の変更など、当時の決断について「なぜその判断をしたか」を今の言葉で説明し直せるようにしておく
ラクロス部の経験は就活でどう評価される?で解説したように、体育会学生の自己PRは役職名の説明だけで止まると評価されにくくなります。主将という肩書きの説明で終わらせず、自分がどんな判断をどんな根拠で下してきたかを言語化しておくことが、キャリアの様々な場面で経験を伝える力につながります。
まとめ
大学ラクロス部の主将は、学生だけで組織を回す構造の中で、競技面の意思決定と対外的な対応の両方を担う役職です。結果が出ない時期に組織をまとめた経験や、正解のない場面で判断を下し続けた経験は、社会人になってからのマネジメントや折衝の場面にそのまま接続できる強みです。肩書きの説明で終わらせず、具体的にどう判断し、どう組織を動かしたのかを整理しておくことが、キャリアの様々な局面で主将経験を伝える力になります。
出典
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