キャリア 2026-08-19
ラクロス部出身者のキャリア ― 現役時代の経験は卒業後どう生きるか
大学ラクロス部を卒業した後、競技との関わりは「引退」で終わるとは限りません。日本には社会人・クラブチームのラクロスリーグが存在し、多くのOB・OGが働きながら競技を続けています。この「卒業後も途切れないつながり」こそが、ラクロス部出身者のキャリアを考えるうえで見落とされがちな重要な要素です。
「大学から始める競技」だからこそ生まれる横のつながり
日本のラクロスは1986年に慶應義塾大学の学生がチームを立ち上げたのが始まりで、翌1987年に日本ラクロス協会(JLA)が発足しました。高校までの競技経験者がほとんど存在せず、全員が大学入学と同時にゼロから始めるという構造は、他の体育会競技にはあまり見られない特徴です。
この構造には、キャリアの観点からも意味があります。経験者ヒエラルキーがないため、大学・学年・出身地を問わず「同じタイミングで競技を始めた」という共通点だけで距離が縮まりやすいのです。就職後に他大学出身のラクロス経験者と初対面で意気投合した、という話が珍しくないのも、この競技の成り立ちが背景にあります。
社会人になっても競技が続く仕組み
ラクロス部出身者のキャリアを語るうえで押さえておきたいのが、大学卒業後の受け皿となる社会人・クラブチームリーグの存在です。
クラブチームリーグの歴史
社会人ラクロスの母体となる連盟は1990年に発足し、1991年には東日本クラブチームリーグが始まりました。当初から男女合わせて全国で約100チームが参加し、その後クラブチーム連盟は北海道・東日本・東海・関西・中四国・九州の6地区に拡大しています。現在もJLA公式サイトで各地区のクラブチームリーグの日程・結果が公開されており、学生時代を終えても「試合に出られる場」が全国的に整備されていることがわかります。
登録規模から見る競技人口の広がり
JLAには学生・社会人を合わせて全国で約320チーム、約13,000人が会員登録しています。この規模感は、大学卒業と同時に競技コミュニティから離れる人がいる一方で、社会人になっても競技を続ける、あるいは指導者・運営側として関わり続ける人が一定数いることを示しています。
OB・OGのつながりがキャリアにどう生きるか
「今も関わっているか」が信頼のベースになる
現役時代の実績(リーグ戦での成績や役職)は就職活動の場面では強い武器になりますが、社会人になって数年が経つと、それだけでは通用しなくなります。むしろ、卒業後もクラブチームでプレーを続けている、後輩の指導に関わっている、OB・OG会の運営を手伝っているといった「継続して関わっている事実」のほうが、同じ競技出身者の間では信頼の材料になりやすいものです。ラクロス部の経験は就活でどう評価されるかで触れた「学生だけで組織を回した経験」は、卒業後もクラブチームの運営という形で再現性を証明し続けられるテーマでもあります。
異業種・異世代のネットワークが情報源になる
大学ラクロス部のOB・OGネットワークは、同学年の同期だけでなく、上下十数年にわたる先輩・後輩の集まりであることが多く、業界も職種もばらばらです。転職や独立を考えるタイミングで、こうした「競技という共通言語を持つ異業種の知人」に相談できることは、大きな財産になります。現役世代のリーグ戦の結果を定期的に追いかけている社会人は珍しくなく、そうした話題が久しぶりに会うOB・OGとの会話のきっかけになることもよくあります。
部活動運営の経験は年次を重ねるほど再評価される
主将・主務・会計・渉外といった学生時代の役職経験は、社会人になって管理職やプロジェクトリーダーを任される年次になるほど、改めて価値を実感しやすくなります。「限られた予算と人員で組織を動かした経験」は、入社直後よりもマネジメントを任されるタイミングでこそ、具体的な行動の引き出しとして活きてきます。
キャリアの転機で意識したいこと
- クラブチームや練習会とのつながりを切らない: 引退後すぐに競技コミュニティから離れず、OB・OG会やクラブチームの情報だけでも追い続けておくと、必要なタイミングで相談できる相手が見つかりやすくなります
- 役職経験を「今の仕事」の言葉に翻訳しておく: 主務や会計としての経験を、予算管理・利害調整・組織運営といった一般的な職務経験の言葉に定期的に言い換えておくと、転職活動でも説明しやすくなります
- 後輩の指導や運営サポートに関わる: 現役チームの運営を手伝う経験は、マネジメント経験の再現・アップデートの機会にもなります
まとめ
ラクロス部出身者のキャリアは、学生時代の4年間だけで完結するものではありません。社会人・クラブチームリーグという受け皿が全国に整備されていることで、競技を通じたつながりは卒業後も途切れずに続きます。この「今も関わり続けている」という事実そのものが、同じ競技出身者の間での信頼を生み、キャリアの転機で頼れる情報源にもなります。学生時代の経験を振り返るだけでなく、卒業後もつながりを維持する意識を持っておくとよいでしょう。
出典
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